現実を否定する国(A country in denial)」
英国エコノミスト誌 2012年3月31日号より
「改革の嵐(gusts of reform)」
債務危機の渦巻くユーロ圏の国々では、改革の嵐(gusts of reform)が吹き荒れているようです。
イタリアやスペインでは政権が変わりました。震源地となったギリシャでも税金逃れ(tax-dodging)はもう出来なくなりつつあります。
※「gust」は「突風・にわか雨・燃え上がる炎」などの意味に見られるように、突然何かがほとばしるようなニュアンスがあります。
「放り出す(toss out)」
ユーロ危機以来、ユーロ圏のほぼすべての国での選挙において、現職政権が放り出されてしまいました(tossed out)。
それと同様に、フランスでも現職のサルコジ大統領が破れるという世論調査が出ています。
「取り戻す(claw back)」
ところが、フランスで起こったテロリストによる凶行(terrorist atrocity)のおかげで、サルコジ大統領は勢いを取り戻しています(claw back)。
なぜなら、治安に不安になると、サルコジ大統領のような右派が有利になるからです。
※「claw」は「爪」。「claw back」には「お金を回収する」という意味もあります。
「ひどい経済的苦境(dire economic straits)」
選挙前となると、候補者たちは悪いことを言いたがらないのかもしれません。
フランスがひどい経済的苦境(dire economic straits)に置かれていることに関して、どの候補者も目をそらしているようです。
誰も涙が出るような法外な税金(eye-watering taxes)を課すことには言及しません。
※「strait」には「海峡」という意味もあり、狭い状態を示すようです。それが「窮乏・難局・苦境」といった意味になります。
「羨むほどの経済的強み(enviable economic strengths)」
経済的苦境(strait)どころか、他国が羨むほどの経済的強み(enviable economic strengths)がフランスにはあると主張します。
教育を受けた生産性の高い労働力、幾多とある大企業などなど。
「ガツガツ食べる(gobble up)」
しかし、フランスの公的債務はGDPの90%に達し、公共支出はGDPの56%を占めています。
フランスはユーロ圏諸国のどの国よりも、国民から集めた税金を国がガツガツと食べてしまっている(gobbled up)のです。
お金がなくても平気なフランス人
お金があっても不安な日本人
「慢性的な失業(chronic joblessness)」
フランスの失業率は1990年代後半以来、最悪の水準にあり、ここ30年近く7%を下回ったことはありません。
大都市近郊の郊外地域では犯罪が多発し、慢性的な失業(chronic joblessness)が改善されることはありません。
「博愛心(benevolence)」
それでも現実から目をそむけるのは、フランス国民が国家を愛する博愛心(benevolence)がそれほどに強いからなのでしょうか?
「対決姿勢をとる(square off)」
大統領選挙で対決姿勢をとる(square off)候補者たちは、決選投票(second round)ともなると、その主張を現実的にするのかもしれません。
「逃げ出す(flee)」
もし、現在の非現実的な主張がそのままフランスで実現するのであれば、投資家たちはフランス国債市場から逃げ出して(flee)しまうかもしれません。
そうなってしまえば、フランス国債の利回りは再び急騰し、国家財政が立ち行かなく恐れがあります。
マネーだけではなしに、富裕層(well-off)や若者たちは実際に海を越えて税率の低いイギリスへと渡ってしまう可能性もあります。
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