2015年09月05日

ドナルド・トランプのアメリカ [The Economist]



ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は訴える。

”This country is a hellhole. We are going down fast. We can't do anything right. We're a laughing-stock all over the world. The American dream is dead." 

アメリカは最低の国(hellhole)になった。われわれは急降下している。正しいことは何もできていない。まったく世界の笑い草(laughing-stock)だ。アメリカン・ドリームは死んでしまった。

トランプ氏がアメリカの大統領を目指すと言ったとき、悪い冗談(joke)かと思われた。彼は実業界でこそヤリ手(wheeler-dealer)であったが、まさか国の最高司令官(commander-in-chief)に、とは誰も思っていなかった。


No one could want this erratic tycoon's fingers anywhere near the nuclear button.

核兵器のボタンの近くに、この風変わりな大物(erratic tycoon)の指が置かれることを誰が望むのか。

ところが数週間後、トランプ氏は瞬く間に共和党員の支持を集めていた。





それにしても、トランプ氏の言うことには一貫性(consistency)がない。

On abortion, he has said both "I'm very pro-choice" and "I'm pro-life". On guns, he has said "Look, there's nothing I like better than nobody has them" and "I fully support and back up the Second Amendment" (which guarantees the right to bear arms).

妊娠中絶(abortion)に関して、彼は「その選択に賛成する(pro-choice)」と言いつつ、「私は生命を尊重する(pro-life)」とも言う。銃に関しては、「誰も銃をもたないのが何よりじゃないか」と言いながら、「(銃の所持を保証する)憲法修正第2条(the Second Amendment)を完全に支持、応援する」と言う。

10年前は自らを民主党(Democrat)と言っていながら、大統領選にでるのは共和党(Republican)からである。



一方、メキシコ移民に対しては頑なだ。

He wants to build a wall on the Mexican border and somehow make Mexico pay for it. He would deport all 11m immigrants currently thought to be in America illegally.

トランプ氏はメキシコとの国境に壁(wall)を建設して、その費用をメキシコにもいくらか負担させようとしている。そして現在アメリカに不法入国している1千100万人の移民(immigrants)すべてを国外に追放しようとしている。

そのような国境壁の建設には2,850億ドル(約430兆円)かかるという推計がある。国民一人当たり900ドル(約11万円)という、とんでもない負担額である。だが、そこまでして壁をつくる必要がトランプ氏にはある。

This is necessary, he argues, because Mexican illegal immigrants are "bringing drugs.They're bringing crime. They're rapists."

トランプ氏は主張する、なぜなら不法なメキシコ移民はドラッグ(drugs)を持ち込んでいる。犯罪(crime)を持ち込んでいる。彼らはレイプ犯(rapists)なんだ。

苛烈なトランプ氏は、不法移民(illegal immigrants)のみならず、そのアメリカで生まれた子供たちをも追放しようとしている。彼らがアメリカ国籍をもっているのもお構いなしに。






外交もまた、いい加減である。

He would crush Islamic State and send American troops to "take the oil". He would "Make America great again", both militarily and economically, by being a better negotiator than all the "dummies" who represent the country today.

トランプ氏はIS(イスラム国)をブッ潰し、アメリカの兵士をオイル取りに行かせるという。アメリカの偉大さを軍事・経済の両面で取り戻すため、現在のダミーのごとき面々が国を代表するのでなしに、もっと優れた対外交渉を行う。

巨富を築いたトランプ氏にとっては、不動産を売るよりも地政学(geopolitics)は簡単らしい。彼独自の世界観(world view)はもはや妄想(paranoia)に近い。

"Every single country that does business with us" is ripping America off, he says. "The money [China] took out of the United States is the greatest theft in the history of our country.

トランプ氏は言う、われわれとビジネスする国はいずれも、アメリカを食い物にしようとしている。中国がアメリカから金をもっていくのは、同国史上、最大の強盗(theft)と言っていい。

中国の為替操作(currency manipulation)を非難し、日本や韓国などの同盟国(allies)との関係も見直そうとしている。

"If we step back, they will protect themselves very well. Remember when Japan used to beat China routinely in wars?"

もしアメリカが軍を退いても、日本や韓国は自分らでうまく国を守れるだろう。忘れたのか、日本はいとも簡単に中国を戦争で打ち負かしたじゃないか。





これほどトランプ氏は粗暴であるにもかかわらず、国内の人気は高い。

His supporters think his boorishness is a sign of authenticity. There are tens of millions of such people in America.

彼を支持する人たちは、トランプ氏のがさつさ(boorishness)には、かえって信用がおけると考える。そう考える人々がアメリカには何千万人もいるのだ。

かつて、こうしたポピュリスト(populists)がアメリカの政界にはいた。1908年のウィリアム・ジェニング・ブライン(William Jennings Bryan)、そして1966年のパット・ブキャナン(Pat Buchanan)。パットのスローガンは「The peasants are coming with pitchforks(農民が鍬をもってやって来た)」。いずれも民衆を焚きつける扇動者(firebrand)であった。

ある意味、トランプ氏はパット・ブキャナンよりも危険な人物である。まず何より、彼は大金持ち(billionaire)だ。

He has "a net worth of much more than $10 billion" and "some greatest assets in the world", including the Trump Tower, the Trump Turnberry golf resort, and so on.

トランプ氏の純資産は100億ドル(約1.2兆円)を軽く超える。そして世界中にとんでもない資産をもつ。トランプ・タワー(ニューヨーク)、ターンベリー・ゴルフリゾート(スコットランド)などなど。

選挙資金は無尽蔵。

"It's very possible", he once boasted, "that I could be the first presidential candidate to run and make money on it."

かつてトランプ氏は豪語した、私は大統領選に出馬して金儲けをする初めての候補者となりうるだろう、と。



他国において、こうした自己宣伝(self-promotion)のたくみな民衆扇動家(demagogue)が選挙に勝つことが時折ある。アメリカだけがその例外となりつづけることもないだろう。

最後にエコノミスト誌は、こう締める。

Fortunately, the Donald's own words provide a useful guide. Republicans should listen carefully to Mr Trump, and vote for someone else.

幸いにもトランプ氏の言葉は指針として役立つ。共和党員は彼の言うことをよく聞くべきだ。そして他の誰かに投票しろ。










(了)






出典:
The Economist, September 5th 2015
American politics "Trump's America




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2015年08月29日

アメリカ、銃殺の動画が拡散。


銃撃による痛ましい事件のつづく今年のアメリカ、ヴァージニア州の町でテレビ生中継中に2人のジャーナリスト(リポーターとカメラマン)が殺害された恐ろしい事件(the gruesome murder)は、いまだ人々の心に衝撃を与えている。

In a grim year for shooting in America, the gruesome murder of two journalists while they were broadcasting live on air in a town in Virginia still had the ability to shock.

容疑者の男は不満をもった以前のリポーターで、彼は銃自殺する前に、自らの凶行を収めた映像をソーシャルメディアに投稿していた。

The alleged gunman, a disgruntled former reporter, posted video of his crime on social media before later shooting himself.


Politics this week
The Economist, Aug 29th 2015



posted by エコノミストを読む人 at 05:54| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月02日

アメリカの人種差別は、どう変わったのか?



ドリームを追って
Chasing the dream

キング牧師の演説から50年、アメリカの人種問題(racial ills)は?

英国エコノミスト誌 2013年8月24日号より








「アメリカ建国時の約束(America's founding promise)」

マーティン・ルーサー・キング牧師は、アメリカ建国時の約束をシンプルに説明しています(a simple clarification)。

”すべての人は平等につくられ(created equal)、生命(life)・自由(liberty)・幸福の追求(the pursuit of happiness)に対する権利を持っている”



「即興(ad-libbing)」

キング牧師の最高の演説となったのは、1963年8月28日、ワシントンに集まった人々を前に行った即興(ad-libbing)の演説でした。

”私には夢がある(I have a dream)。いつの日か(one day)、私の4人の幼い子供たちが、肌の色(the color of their skin)ではなく、人格(the content of their character)で評価される国に暮らすようになるという夢が”








「白人の偏見(white bias)」

今から50年前のキング牧師が生きた時代(in King's day)、アメリカ南部に住む黒人は、有権者として登録しようとするだけでリンチ(lynching)に遭う危険があったといいます。

黒人専用の水飲み場は質が悪く(inferior)、学校も白人とは分け隔てられていました。就ける職も格下で、黒人女性の仕事の60%は家事使用人(domestic servants)だったのです。



「見違えるほど変わった(changed beyond recognition)」

あの名演説から50年、アメリカという国家は見違えるほど(beyond recognition)変化しました。

黒人が選挙で投票できるのは当たり前となり、オバマ大統領をはじめ、黒人候補者(non-white candidates)も当たり前、白人の多いマサチューセッツ州知事も今は黒人です。



「異人種間の恋愛(inter-racial love)」

キング牧師の時代、異人種間の恋愛(inter-racial love)は法律で禁じられていました(illegal)。

ところが現在、アメリカでの結婚の15%がそうした人種を越えた結婚であり、黒人男性に至っては、その割合が24%にも上ります。



「人種の隔離(segregation)」

キング牧師の時代、人種の隔離(segregation)もアメリカでは法律で定めらていました。

ですが今では、「白人しかいない地域(all-white neighborhoods)は、事実上消滅した(effectively extinct)」と言われています。アメリカの大都市圏の上位85ヶ所すべてで、人種隔離は下り坂にあるとのことです。



「公民権革命(the civil-rights revolution)」

キング牧師らが活躍した公民権(civil rights)運動は、あの名演説(I have a dream)の翌年、時のトルーマン大統領により支持され、以後、黒人の地位は劇的に向上していきました。

いまや、黒人が大都市の市長になっても(たとえばワシントン、フィラデルフィア、デンバー)、黒人が大企業のトップになっても(たとえばメルク、ゼロックス、アメリカン・エキスプレス)、黒人が映画の世界で神を演じても(モーガン・フリーマン)、それをおかしいと思う人はいなくなりました。



「中断(interrupted)」

公民権革命後、黒人の所得(earnings)は絶対値(absolute terms)でも白人に対する相対値(relative)でも急増しました。

ところがリーマン・ショックら一連の経済低迷期に入った近年、黒人の世帯収入の中央値(median household income)は、白人のそれに対する比率で64%から58%に減少してしまいました(2000〜2011年)。



「貧富の差(the wealth gap)」

貧富の差は、もっと深刻です(more alarming)。住宅バブル(housing bubble)の崩壊後、それは劇的に拡大しました。

2005年には、白人世帯における純資産(net worth)の中央値が、黒人世帯の11倍だったのが、その4年後の2009年には20倍にもなってしまったのです。



「ほかの指標(other measures)」

黒人の数字は、その他の指標においても芳しくありません。

17歳の黒人の読み書き・計算能力(reads and manipulates numbers)は、13歳の白人ほどと低く、30〜34歳までに刑務所(behind bars)を経験する黒人は10人に一人と、白人の6倍以上です(白人は61人に一人)。



「婚外子(born out of wedlock)」

キング牧師の生きた1960年代、黒人の子供の25%近くが婚外子(born out of wedlock)であったことが、大変に懸念されていました。

ところが今や、その数字は72%にも達してしまっています(ちなみに白人は29%)。そして、そうした子供たちのほとんどが、同居するパートナーのいない完全に独り身(truly alone)の母親によって育てられいます。もはや、伝統的な黒人家庭(the traditional black family)の形は体をなしていないようです。



「根強く残る人種差別(the lingering effects of racism)」

ある人らは、根強く残る人種差別(racism)の影響を懸念します。

黒人の多い学校は資金不足で(underfunded)、企業は黒人の求職者(applicants)を無視しており(overlook)、刑事司法制度(the criminal-justice system)も黒人に偏見を持っていると言うのです。



「考えにくい(it seems unlikely)」

ですが、ここ10年(the past decade)アメリカでは人種差別が悪化したとは考えにくいことです。

というのも現在のアメリカにおいて、人種差別的な発言(racist opinion)はキャリアを終わらせる過ち(a carrer-ending mistake)ともなってしまいます。そうした企業は裁判所からだけでなく、消費者からも罰せられるのです。



「世論調査(polls)」

世論調査(polls)によれば、アメリカにおける人種差別は確実に弱まっています(dwindling)。とりわけ若い世代においては、ずっと偏見が少なくなっています(less bigoted)。

そして、努力次第では差別による障害(obstacles)は克服できる程度のもの(superable)ともなっています。たとえば大卒女性の場合、黒人と白人の所得の中央値はほぼ同じなのです。



「自己責任(their own problems)」

黒人であれ白人であれ、保守派の人々(conservatives)は個人の問題は自己責任(their own problems)だと考える傾向にあります。

とはいえ、過去のアメリカが培ってしまった人種差別の負の遺産(the legacy of discrimination)は、個人の力ばかりで振り払えるものではありません。アメリカがかつて容認した人種隔離政策の一つ、ジム・クロウ法(Jim Crow law)の影は少なくも依然残っているのです。



「ジム・クロウの影(Jim Crow's shadow)」

貧困は貧困を生む(poverty begets poverty)、その傾向は以前よりも強まっています。

経済危機の与える打撃は、明らかに一人親世帯(single-parent families)を直撃しています。アメリカの現行システムの中にも、白人よりも黒人にシワ寄せがいってしまうものが、いまだ存在しているのです。



「恥ずべき問題(the scandal)」

司法制度(the justice system)における恥ずべき問題(the scandal)は、人種差別よりも情け容赦のないこと(brutal)にあるといいます。

非暴力的な薬物犯罪者(non-violent drug offenders)ですら何十年も刑務所に閉じ込められ、その間、家族はばらばらに引き裂かれてしまいます。そうした軽犯罪者(minor criminals)には、薬物治療や監視装置(ankle tag)の着用などで対処する方がずっと効率的だ(far better)、とエコノミスト誌は言います。



「自滅的(self-destructive)」

オバマ大統領は、多くの黒人生徒は読書するクラスメートを「白人気どり(acting white)」と罵り仲間外れにしている、と嘆いています。

そうした自滅的な文化(self-destructive culture)が、スラム街の学校(inner-city schools)などには残っているといいます。こうした問題は、単に資金をばらまくこと(throwing money)で改善できるものではありません。



「幸福の追求(the pursuit of happiness)」

あれから50年、アメリカの恥ずべき過去(shameful past)はすっかり薄らぎ、肌の色(skin colour)はキング牧師の時代ほどの差別は生まなくなりました。

とはいえ、アメリカ建国時の約束の一つである「幸福の追求(the pursuit of happiness)」には、まだまだその終わりが見えません(never ends)。

今後、われわれが見据えるべき視点は、もう肌の色のように表面的なものではないのかもしれません…。













(了)






英語原文:The Economist
Race relations in America 「Chasing the dream」

posted by エコノミストを読む人 at 19:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月27日

なぜ干ばつを受けてなお、アメリカの農家の収入は上昇したのか?


黄金の畑
Fields of gold
アメリカの農業
Agriculture



アメリカの農家は、価格高騰(soaring prices)の恩恵を受けている。

英国エコノミスト誌 2013年2月23日号より



「記録的な干ばつ(the record-breaking drought)」

アメリカは昨年(2012)、記録的な干ばつ(the record-breaking drought)に襲われました。枯れる作物(withered crops)、干上がる土壌(sun-baked soil)、そして野火(wildfires)…。

USDA(アメリカ農務省)は、26州にまたがる1,000以上の郡を自然災害被災地域(natural-disaster areas)に指定しましたが、これは過去最大の大規模被害でした。



「新たな黄金期(another golden age)」

確かに、農地や農作物への被害は甚大でした。しかし、不思議なことに、アメリカの農家の収入は逆に上がったのです。

それは、トウモロコシの価格などを決めるコモディティー(商品)市場の好況(booming commodity markets)や、農地価格の記録的高値(record prices for farmland)のおかげだった、とエコノミスト誌は言います。



「世界的な力強い需要(strong global demand)」

記録的な干ばつによって不足した穀物は、その価格を急激に上昇させました(reised dramatically)。

トウモロコシを生産できた農家は幸いです。昨年のトウモロコシの平均価格は2010年と比べて、2割ほど上昇したのです(1ブッシェルあたり8.49ドル、すなわち約25kgあたり約780円)。



「作物収量の保険金(crop-insurance)」

トウモロコシが干ばつでやられてしまった農家も、支払われた保険金によって救われました。保険会社の支払い総額は、過去最高の142億ドル(約1兆3,000億円)に達しています(これからも増えていく見込み)。

結果的に、アメリカの農業所得は昨年比14%増の1,280億ドル(約11兆8,000億円)。実質ベース(real terms)でここ40年間の最高額を記録する可能性があります(USDA)。



「農地価格(farmland prices)」

歴史的な低金利も相まって、アメリカの農地価格は今、驚くべき速さで上昇しています(rising surprisingly fast)。

アメリカ中西部の農地価格は昨年、16%の上昇。この傾向はここ3年間連続(the third consecutive year)で続いており、累積では52%もの上昇(a cumulative 52%)となっております。



「農地バブル(the farmland boom)」

アメリカ中西部の5大農業州(アイオワ・イリノイ・インディアナ・ミシガン・ウィスコンシン)では今年も、農地価格が2割以上も高騰しており(big jump)、これは過去40年間で最大の上昇率となっています。

そのため、この異常な過熱ぶりは、1970年代の農地バブル(the farmland boom)の再来だとの声が相次いでいます。



「バブルめいた数字(frothy numbers)」

ブレント・グロイ氏(米パデュー大学)によれば、近年の地価上昇は、過去50年間で最も劇的な高騰(the most dramatic seen)だということです。

はたして、このバブルめいた数字(such frothy numbers)の行く末は?

1970年代の農地バブルの時は、その後にバブルは崩壊(bust)。農地価格は最盛期から4割も急落してしまいましたが…。



「警告の書簡(warning letters)」

事態を重く見た規制当局(regulators)、FDIC(連邦預金保険公社)は、各金融機関に警告の書簡(warning letters)を送付したとのことです。

その書簡には、農地価格の高さに油断して、融資基準(lending practices)を甘くすることがないように、との警告が記されていました。



「バブルとその崩壊(boom and bust)」

今のところ、この農地価格の高騰がバブル(boom)なのか、もしそうなら、それは崩壊するのか(bust)、誰も確たることは言えずに思い悩んでいます(now wondering)。



「農家の借金(farm debt)」

楽観主義者たち(hopeful people)は、農家の借金(farm debt)は1970年代のバブル時ほど急増していないから大丈夫だと強気です。

しかし一方で、農家の債務比率(debt-to-asset ratio)の平均は、1970年代よりもすでに高くなっていると指摘する向きもあります。



「黄金の未来?(less golden)」

どうやら、コモディティー(商品)価格の上昇にしろ、農地価格の上昇にしろ、それらは危うい橋の上に置かれているようです。

今のアメリカの農地は、黄金の畑(fields of gold)というよりも、金メッキが施されているだけなのかもしれません…。







英語原文:Agriculture: Fields of gold | The Economist

posted by エコノミストを読む人 at 12:31| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月24日

カリフォルニア州を割るシェールオイル。お宝か、それとも毒か?


アメリカ西部のシェールガス
Fracking in the West
莫大な埋蔵量、大きなためらい
Big reserves, big reservations



カリフォルニア州は決断を下そうとしている、シェール革命(the shale revolution)に加わりたいかどうかの。

英国エコノミスト誌 2013年2月16日号より



「シェールガス開発(shale exploitation)」

アメリカ中西部のノースダコタ州は、シェールガスの開発(shale exploitation)によって、州民の所得を引き上げ、失業率を3.2%にまで低下させました。

いまだ高止まりする全米の失業率(7.8%)に対して、このノースダコタ州の数字は、全米で最も低い水準(the lowest level)にあります。



「全米一の貧困率(America's highest poverty rate)」

一方、カリフォルニア州は失業率が全米平均(7.8%)をゆうに上回る9.8%、その貧困率(poverty rate)は全米一という高さです。

カリフォルニアの人々が、ノースダコタのような中西部を羨むことなどほとんどないのですが、この時ばかりは、シェルガスに沸くノースダコタ州に羨望の眼差しを向けるのでした(look longingly)。



「驚くべき新事実(the revelation)」

そんなカリフォルニア州に、驚くべき新事実(the revelation)がもたらされます。

なんと、自分たちの足元、地下3,000mには全米最大のシェールオイル鉱床(deposit of shale oil)が眠っているというではありませんか!

彼らはそのシェール層(shale formation)にこそ、自分たちの救い(their salvation)があると考えるようになったのは無理なからぬことです。



「モントレーのシェール層(Monterey shale formation)」

その夢の鉱床が見つかったのは、カリフォルニア中南部のモントレー(Monterey)。その45万ヘクタールの広大なシェール層(shale formation)には、採掘可能な石油(recoverable oil)が154億2,000万バレルも埋蔵されているというのです。

この膨大な埋蔵量(big reserves)は、アメリカ全土48州の推定埋蔵量の64%にも匹敵するものでした。



「将来有望(an attractive prospect)」

これほど将来有望なもの(an attractive prospect)が足元に眠っていたとは…。

長引く財政難(fiscal woe)と高い失業率に苦しむカリフォルニア州にとって、足元のシェール鉱床は、喉から手がでるほどに渇望するものであったのです。







「環境意識(environmental scruples)」

しかし、シェールガス開発には地下水汚染(contamination)や大気汚染(air pollution)がつきまといます。

環境意識(environmental scruples)の高いカリフォルニアの人々は、その採掘にためらい(reservations)を感じずにはいられません。去年12月に州政府に提案された規制には、そんな懸念が盛り込まれていました。



「地震が活発な州(a seismically active state)」

大きな農業部門(farm sector)を抱えるカリフォルニア州にとっては、シェール岩を砕く採掘方法によって、地震が誘発されるのではないかという不安もありました。

ただでさえ、カリフォルニア州は地震活動が活発な州(a seismically active state)なのです。たとえわずかな可能性であれ、聞く耳(receptive ears)を持つ人々はシェールガス開発に反対でした。



「石油業者(the oilmen)」

一方、押せ押せの石油業者(the oilmen)は反論します。今まで何のトラブルもなくやってきた、と。

さらに彼らはこう言います。規制の緩い地域(looser regimes)から石油を運びこむよりは、規制の厳しいカリフォルニア州で石油を採掘するほうが環境に優しい、と。



「亀裂(split)」

まるで、シェールオイル採掘の時に岩に亀裂(split)を入れるように、シェールオイルというお宝は、カリフォルニア州のさまざまなところに亀裂を入れてしまいました。

失業率が高い内陸部(inland)では、シェールオイルが新しい仕事をもたらしてくれることを期待し、環境保護論者(the conservationists)は頑なに開発を拒みます。







「財政のトイレ(fiscal toilet)」

はたしてシェールオイルは、カリフォルニア州を財政のトイレ(fiscal toilet)から抜け出させる道なのか?

政治家、企業、その他の思惑もそれぞれ。論争(the row)は激化するばかり…。



「サウジアメリカ論(Saudi America talk)」

エコノミスト誌は、サウジアメリカ論(Saudi Americ talk)は大げさだ(overdone)と言います。

つまり、たとえカリフォルニア州が巨大鉱床モントレーの開発をはじめたとしても、経済的な奇跡(an economic miracle)が起こる可能性は低い(unlikely)と言うのです。



「機会損失(the opportunity costs)」

そもそもカリフォルニア州の巨大な人口は、シェールガスで成功したノースダコタ州の50倍以上もあります。

そのため、カリフォルニア州で所有地をシェールオイル採掘に差し出すのは、他の州よりも機会損失(the opportunity costs)がずっと大きいと指摘する人もいるのです。



「不確定要素(uncertainties)」

地質や規制など、さまざまな面で不確定要素(uncertainties)の多いカリフォルニア州で、モントレーの大規模開発に乗り出している石油業者はまだいません。

それでも、複数の企業がその将来性(its future)を見込んで、大きな賭け(large bets)に出ているそうです。



「フラッキングの液体一杯(a glass of fracking fluid)」

ためらい続けるカリフォルニア州に対して、西部の他州、たとえばコロラド州などは、もっと陽気に(merrily)シェールオイル開発の計画を推し進めています。

コロラド州知事は、シェール採掘の安全性を示すために、その際に用いられるフラッキングの液体(fracking fluid)をコップ一杯飲んで見せたほどです。



「非伝統的(unconventional)?」

アメリカにおける新しい採掘方法である、シェール層の水圧破砕(フラッキング)技術は、そのブームもあいまって、ここ数年で急速に進歩しています。

真水ではなく塩水(saline)を用いるものもあれば、水すら全く使用しない技術も模索されているのです。

そのため、かつては非伝統的(unconventional)と呼ばれたシェール資源はもはや、そう呼ぶのが奇異に感じられる(seem odd)、と業界団体のダン・カーシュナー氏は述べています。







英語原文:Fracking in the West: Big reserves, big reservations | The Economist

posted by エコノミストを読む人 at 07:43| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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