2015年04月13日

なぜ香港人は中国人を嫌うのか?



香港(Hong Kong)で買ったものを中国本土の闇市場(black-market)で売りさばく。そうした商売(racket)を香港の人(Hong Kongers)は「並行交易(parallel trading)」と言って嫌う。



ところでなぜ、わざわざ香港で買い物するのか?

中国本土の消費税(sales tax)が17%なのに対して、香港では0%。無税で買えるとあらば、商売は十分に成り立つ。

しかし本土(mainland)から大量の人々が香港に押し寄せるものだから、香港の人々は辟易している。本土の人々はがさつ(boorish)で、店の棚を空っぽにしてしまう様は「イナゴ(locstas)」のようにしか見えない。



もともとの香港の人口は700万人程度。

それに対して本土からの人の波は4,700万人(2014)。香港人のおよそ6〜7倍という圧倒的多数だ。中国人訪問者は2013年から16.5%も増えており、この調子でいけば、2020年までにはその数が1億人を超えるという予測もある。

香港では2002年、イギリスによる植民地支配(colonial rule)が終わった5年後に、中国人旅行者(tourists)の人数制限(quota)を撤廃した。それ以来、隣接する深圳から境界線を越える人々は後を絶たない。



香港のモノは安いだけでなく、質も良い。

たとえば2008年、乳幼児の粉ミルク(fomula)が中国本土で汚染されたとき、香港では極端な粉ミルク不足(shortages)に見舞われた。香港政府が粉ミルクの輸出に厳しい制限をかけたほどだ。

客が来るのであれば、香港の小売店にとって喜ばしいはずだ。実際、本土の熱狂的な顧客(the frenxied custom)を歓迎する向きもある。しかし流れに乗れなかった多くの古い店舗(older outlets)は、賃料の上昇により閉鎖を余儀なくされてしまっている。



「上水文化を締め出している」

”lock out Sheung Shui culture”

本土との協会に近い上水(Sheng Shui)の新康街には、並行輸入(parallel import)に反対する団体ができた。



香港は中国でありながら中国ではない。

最新の世論調査(poll)では、自分たちを”中国人(Chinese)”と考えたがらない香港人が、かつてないほど増えていた。

「人々は怒っており、苦々しい気持ちを抱いている」

"People are angry and bitter"

香港の立法会(議会)議員、劉慧卿(Emily Lau)は言う。



ここ数週間、民主派のデモ隊(pro-democracy demonstrators)の抗議行動が再燃している。本土からの侵略(the mainland's encroachment)に対する憤怒(resentment)が香港人を暴力的にさせているのである。

かつてデモが行われるのは、香港都市部の人口密集地域(densely populated city)に限られていたが、最近では本土寄りだった境界線に近い場所(near the border)でも怒りが燃えている。



香港政府の立場は苦しい(in a bind)。それでも反本土感情(anti-mainland sentiment)に迎合して抗議者たちの味方をする気はない。

というのも、本土からの買い物客は法律をまもっている。最大5,000元(約10万円)という持ち帰り品(bring back goods)の枠の中におさまっている。闇商人(black-market traders)ですらそうだ。



しかし香港人は感情的にならざるをえない。

所得格差(income inequality)が広がっていることも、不動産価格(property prices)が急騰していることも、人口が高齢化していることも、”責任は本土の人間にある”と考えている人が少なくない。そして味方してくれない香港政府に対して、

”北京の中央政府に寝返った”

”Hong Kong's government has sold out to the one in Beijing"

と怒っている。とりわけ若い人などなおさらだ。



新たな火種(flashpoint)は、2017年の香港政府トップを選ぶ行政長官選挙に関する取り決めだ。これは昨年(2014)後半、香港の人々数千人をデモに駆り立てた案件である。香港政府のトップを選ぶ権利が彼らにないことに腹を立てたのだった。この件に関して、香港の立法会(議会)は今年夏までに議論をまとめなければならない。

また愛国教育(patriotic education)に関する問題もある。中国の歴史を学校でどう教えるべきかについてである。



6月4日

香港人は毎年の恒例行事として、天安門事件のデモ弾圧(1989)を記念した集会(rally)を行う。

7月1日

香港の中国返還記念日は大規模デモに発展しやすい。



香港政府に息抜きする暇はない。

The government will have little respite.













(了)






ソース:
The Economist 「Hong Kong-mainland relations; Aisles apart」
JB press 「香港と中国本土:遠のく関係」
単語集:




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2013年05月11日

夢見る中国。おろそかにされる法の支配



中国の未来
China's future

習近平のチャイニーズ・ドリーム
Xi Jinping and the Chinese dream



中国の新国家主席(習近平)のビジョンは、国家にではなく、国民に利するべきである。

英国エコノミスト誌 2013年5月4日号より



「謙虚さ(humility)」

1793年、産業革命を成したばかりのイギリスは、中国に大使館(embassy)を開設しようと、時の王朝「清国」を訪れました。

イギリスのマカートニー卿は、謙虚(humility)かつ従順(obedience)に、時の皇帝・乾隆帝に贈り物をしたといいますが、大使館開設の申し出は一蹴されてしまいます(swat away)。



「屈辱(humiliation)」

中国に屈辱(humiliation)を味わわされたイギリス国王ジョージ3世。1830年代には、軍艦(gunboats)で清国に迫り、力づくで貿易の扉を開くことになります。

当時、中国のGDP(国内総生産)は全世界の3分の1をも占めていたといいますが、イギリスの産業革命の成果は、その巨大な中国をも覆すものでした。



「偉大な国へと戻る旅路(the road back to greatness)」

現在の中国は、ふたたび偉大な国(greatness)へと戻る旅路にあるようで、ここ数十年の成果には目覚ましいものがあります(extraordinary journey)。

数億の国民が貧困(poverty)から抜け出し、さらに数億人が新たな中流階級(middle class)へと昇進しています。



「本来あるべき地位(rightful position)」

歴史上、世界最大国家でない時期のほうが少ない中国。いよいよ、本来あるべき地位(rightful position)に返り咲こうとしているようです。

あと10年もすれば(within a decade)、世界一の経済大国アメリカを追い越す(overtake)と見込まれています。



「チャイニーズ・ドリーム(Chinese dream)」

中国の新たな指導者、習近平(Xi Jinping)氏の掲げるスローガン(slogan)は「チャイニーズ・ドリーム(Chinese dream)」。

これは明らかに「アメリカン・ドリーム」のパクリです(American equivalent)。



「アメリカ風の野心(American-style aspiration)」

習近平氏の見る夢は、はたしてどんな夢(vision)なのか。

どうも、そこにはアメリカ風の野心(American-style aspiration)、世界一の軍事大国になるという不穏な気配(troubling whiff)も漂っているようですが…。



「富と強さ(wealth and strength)」

イギリスに屈辱(humiliations)を喫した19世紀以来、中国の追い求めるものは、一貫して富と強さ(wealth and strength)にありました。

毛沢東(Mao Zedong)はマルクス主義(Marxism)を通して、それを手に入れようとし、ケ小平(Deng Xiaoping)は多少軟化したとはいえ(more flexible)、共産党(the Communist Party)による支配は絶対的でした(absolute)。



「貧富の格差(wealth gap)」

江沢民(Jiang Zemin)の時代、中国共産党は民間ビジネスマンの入党を許し(allow)、変化した社会に適応する姿勢を見せ始めます。

しかし、中国の豊かになる道は、金持ちになれる奴からなれ、という熾烈なものだったため、国のGDPが大きくなるに連れ、貧富の格差(wealth gap)も大きくなってしまったのでした。



「和諧社会(harmonious development)」

そこで胡錦濤(Hu Jintao)氏は、貧富の格差が生む不協和音(the disharmony)を和らげようと、和諧社会(harmonious development)というスローガンを掲げ、格差解消を推し進めました。

そして、その後を継いだのが、現国家主席・習近平氏ということになります。



「傲慢な18世紀の君主(the dynasts of the 18th century)」

習近平氏の新しいスタイルには、以前の指導者たち(predecessors)に見られたような格式ばったイデオロギー(stody ideologies)とは異なるようです。

写真映えのする妻(photogenic wife)をはべらせる習近平氏は、どちらかと言うと乾隆帝など18世紀の傲慢な君主たち(the dynasts)に近いような…。



「中華民族の偉大なる復興(the great revival of the Chinese nation)」

昨年11月、習近平氏が天安門広場で語った夢が、「中華民族の偉大なる復興(the great revival)」。

その愛国的な基本方針(patriotic doctrine)は、経済成長が減速しつつある中にあっても、中国共産党の正当性(legitimacy)を印象付けようとしているかのようでした。



「明らかな危険(clear deniers)」

国家の復興(resurgent nation)というスローガンは、歴史的な被害妄想(historical victimhood)と合わさった時に、危険な思想に変質する危険性があります(turn nasty)。

近隣海域で小競り合い(skirmishes)や挑発行為(provocations)が続発する中、日本に屈辱(humiliation)を味わわせろと愛国ブロガーたち(patriotic bloggers)が騒ぎ立てるのは、その悪しき一例でしょう。



「強い軍隊の夢(strong-army dream)」

強い軍隊(strong-army)を持つというのもまた、習近平氏の夢の一つです。

軍部(armed forces)の喜ぶその夢は、タカ派的な彼ら(hawks)を味方につけるために有効であると同時に、中国がより好戦的な姿勢(more belligerent stance)に傾いてしまう危険性もあります。



「暴れん坊国家(a bully itching)」

かつて植民地支配の犠牲者(a colonial victim)であった中国。その解放直後の毛沢東は、帝国主義時代の過去(imperial past)を抹消しようと躍起になりました。

そして十分に力をつけた今、もし日本に仕返しをしたい(settle scores)と考えているのならば、中国は暴れん坊国家(a bully itching)に変容してしまう(transform)のかもしれません。



「共産党の絶対的な権力(the party's absolute claim on power)」

習近平氏の掲げるチャイニーズ・ドリームの結果は、国民の幸福なのでしょうか。それとも、共産党の絶対的な権力(absolute claim on power)を強化することなのでしょうか。

中国国民が幸福な暮らし(happy life)を求める気持ち(desire)は、アメリカ国民以上のものかもしれません。ですが、その実現のために他を押しのけてまで、というのもどうでしょう。



「より高い理想(a higher ideal)」

習近平氏は、こう語っています。

「チャイニーズ・ドリームは一つの理想(ideal)だ。そして、それより高い理想が共産主義(Communism)だ」と。

ソビエト連邦が崩壊したのは、共産主義ゆえではなく、その正当性(orthodoxy)と規律(discipline)から外れたためだと習近平氏は言います。



「法の支配(the rule of law)」

夢を見るのは大変結構ですが、無法(no rule)では困ります。中国の幸福が他国の不幸では目も当てられません。すなわち、共産党の力よりも、法の力(constitution)の方が大きくなくてはなりません。

ある改革派の新聞は、そのことを社説(editorial)に論じていましたが、なぜか発行直前に(at the last minute)骨抜きにされてしまったようです。要するに共産党による検閲(the censors)に引っかかったのです。



「これから先の長い道のり(a long journey ahead)」

中国が先進他国と大きく異なるのは、法の重みでしょう。アメリカでも日本でも、憲法(the constitution)は絶対です。

ところが中国では、法の上に共産党が位置しているかのようです。欧米諸国の懸念はここにあります。法の支配を受けない自由は、じつに身勝手なものと堕してしまいかねません。

法の道筋に沿っていない限り、習近平氏の夢は、国家復興への道のり(journey)をますます遠いものとしてしまうかもしれません…







英語原文:
China's future: Xi Jinping and the Chinese dream | The Economist

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2013年03月20日

あまり変わる気のなさそうな中国


中国の政治

旧体制と大革命
The old regime and the revolution



中国は政治的な転換点(tipping point)に近づいている。

英国エコノミスト誌 2013年3月16日号より



「腐敗した死骸(the putrescent carcasses)」

なぜ、何千匹ものブタの死骸(carcasses)が川を下って上海に流れ着いたのでしょうか?

それらの死んだブタは、上流の畜産農家が投棄したものと思われますが、なんとも不気味で説明のつきにくい事件です(unexplained)。



「新・国家主席(new president)」

腐ったブタが上海に流れ着いた、まさにその週(3月の第3週)、中国では新たな国家主席(new president)に、習近平(Xi Jinping)氏が就任しました。

国家主席の就任という晴れのニュースと、無数の死んだブタという不気味なニュースが同居した3月の第3週、なんとも切れ味の悪い新政権の船出となったものです。






「汚染と汚職(pollution and corruption)」

汚染(pollution)や汚職(corruption)の話題が絶えない中国。

川に浮かんだ無数のブタは、その国家の何か腐ったもの(something rotten)を象徴しているかのようでした。



「独裁体制(authoritarian regime)」

中国共産党による一党独裁の体制(authoritarian regime)が、限界(its limits)に近づいていると考える人もいます。

アメリカの学者、アンドリュー・ネイサン氏は「中国に転換点(the tipping point)はあるのか?」という論文の中で、中国の独裁体制は1989年の天安門事件以来、もっとも限界に近づいていると述べています。



「一党独裁の崩壊(the demise of one-party)」

一党独裁の礎を築いたのは、第二次世界大戦後の毛沢東(Mao Zendong)。ゆえに、彼の死後ずっと(1976〜)、その崩壊(demise)が語られてきました。

ところが、その体制の打たれ強さ(resillience)といったら外国人たちの予想以上であり、今の今まで一党独裁は続いてきているのです。






「革命の寸前(the brink of revolution)」

それでも毛沢東の死後、十数年経った頃、中国は革命の寸前(the brink of revolution)までいきました。それが1989年の天安門事件(Tiananmen crisis)です。

同胞の社会主義国家であったソビエト連邦の崩壊も相まって、次に倒れるドミノ(the next domino)は中国だと目されていました。ところが、中国の耐久性たるや強靭であり(more durable)、国民の支持も思ったより強かったのです。



「中国ブーム(China booming)」

崩壊すると思われていた中国よりも脆弱だったのは、じつは先進諸国の民主主義の方でした。

欧米諸国が経済的に低迷する中(floundered)、中国はそれを踏み台にするかのようにして自国の経済を急成長させ、世界第2位の経済大国にまでのし上がったのですから。



「天安門を知らない世代(no direct memory)」

しかし、今の中国では独裁的な共産党に対する恐れ(fear)は薄れてきています(diminishing)。

天安門事件を直接体験した古い世代は、流血の弾圧(bloody suppression)の記憶が生々しく、共産党に対する恐れも少なくありません。ところが、その事件を知らない世代(25歳以下)はそうではないのです。

皮肉にも、中国政府は天安門事件を若者たちに知られないようネットまで封鎖してきたのですから(keep in the dark)。



「嘲笑か無視(mocking or ignoring)」

共産党を恐れない世代(25歳以下)は、いまや5億人にも上っています。

彼らの中で正面切って政府に反対するのは少数派で、大多数の若者たちはオンライン上で中国共産党をバカにするか(mocking)、完全に無視するか(ignoring)です。



「デモや抗議行動(demonstrations and protests)」

中国では、デモ(demonstrations)や抗議行動(protests)が急増しています(proliferate)。

農民たちは土地の強奪(land-grabs)に憤怒し、工場労働者たちも親たちの世代より反抗的です(less docile)。こうした政府を恐れぬ中間層(middle class)が拡大し、集団事件(mass incidents)は多発しているのです。



「不満うずまく中間層(discontented middle class)」

中間層の台頭(emergence)は、国家の在り方を脅かします。隣国の韓国や台湾などでは、そうした力が独裁政権を打倒したのです(brought down)。

中国の巨大な中間層は今、政府に不満タラタラです(discontented)。汚職や格差(inequality)、食品汚染や大気汚染。挙げ句の果てには、腐ったブタの死骸で飲み水が汚されたのです。そりゃ怒りもするでしょう(furious)。



「バラバラに散らばった不満(atomised grievances)」

インターネット時代の到来以前、中国全土の不満はバラバラのままで、それらが集積して一つの運動にまで発展することはマレでした。

ところが今、インターネットのみならず携帯電話の通信(mobile telephony)が、中国全土に散らばった不満を一つの形にしていける力を持っています。



「ヌカに釘(to pin jelly to the wall)」

かつての中国政府は、各地の不満をモグラたたきのようにハンマー(hummers)で叩き潰していれば、それで事足りていました。

ところが、今や叩いても叩き切れません。毛穴という毛穴から不満が噴き出しはじめているのです。中国政府は今なおハンマーと釘をたくさん持っていますが、それはまるでヌカ(jelly)に釘を打つような作業となってしまっています。



「強力な既得権益(powerful vested interests)」

中国政府の政治改革(political reform)を難しくしてるのは、強力な既得権益(vested interests)を握る勢力なのでしょう。

習近平国家主席は、収賄役人(freeloading officials)の一掃し、政府の合理化(streamlining)に取り組むと言っています。



「硬い骨にかじりついてでも(gnawing at a hard bone)」

習氏の決意は固いようです。彼の言葉を借りれば、「硬い骨にかじりついてでも、危険な浅瀬(a dangerous shoal)を渡れ」、と共産党に対して勇敢な改革を要求しています。

習氏に言わせれば、「歩きながらガムを噛む(chewing gum)」のは弱虫(wimps)のすることだそうです。



「一党独裁の強化(strengthening party rule)」

ここで注意しておかなければならないのは、習近平国家主席の言う改革(reform)とは、社会主義から民主主義への移行ではありません。

むしろその逆で、一党独裁の強化による共産主義(Communism)の発展であり、社会主義体制を中国風に自己改善(self-improvement)することです。



「他山の石(object lesson)」

習氏にとって、ソ連の共産党は失敗したのであり、ゴルバチョフ書記長は倣うべきではない他山の石(object lesson)にすぎません。

ソ連の失敗の原因は、軍の掌握の甘さだと考える習氏は、自分は軍の手綱(the grip on the military)をもっと強く握ると明言しています(spell out)。



「旧体制(old regime)」

なるほど、習近平国家主席の言う改革とは、旧体制(old regime)を強化することのようです。

フランス革命を題材にしたアレクシ・ド・トクビルは、旧体制が倒れるのは、変化に抵抗した時ではなく、期待を裏切ったときだ(dash the expectations)、と言っています。

はたして習氏は中国国民の期待に応えることができるのでしょうか。



「ブタが空を飛ぶ(pigs will fly)」

中国共産党がこれからの時代を生き延びるために、改革は必要とされるでしょう。抜本的な政治改革(fundamental political change)も求められるかもしれません。

もし、それが中国に成される時、ブタは川を下るだけでは済まないでしょう。もう空を飛んでいるかもしれません(笑)。







英語原文:The old regime and the revolution | The Economist

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2012年08月17日

食いつ食われつ…、強くもズルいジャングルの勝者。鴻海(ホンハイ)


シャープと鴻海(ホンハイ):ジャングルの掟(弱肉強食)
Sharp and Hon Hai : Law of the jungle

英国エコノミスト誌 2012年8月11日号



「中国最大の電子機器受託製造サービス企業(China's biggest contract manufacurer)」

鴻海(ホンハイ)グループの「フォックスコン(富士科技集団)」は、中国で最大の電子機器受託製造サービス企業(contract manufacurer)であり、アップル社iPhoneやiPadなどの大半を製造するのも同社です。





「100万人の動物(one million animals)」

その鴻海(ホンハイ)の会長・郭台銘(テリー・ゴウ)氏は、「人間も動物である以上、100万人の動物を管理することは、私の頭痛の種(a headache)だ」との発言で物議を醸し出しました。

のちに彼はこの発言について謝罪しますが、彼が人間(従業員)を動物と表現したのは、彼の生きるビジネスの世界が「ジャングルのように厳しい弱肉強食(law of the jungle)の世界」だったからなのかもしれません。



「長患いしている日本のハイテク大手(an ailing Japanese technology giant)」

一方、その弱肉強食の世界で痛く傷ついてしまっているのが、日本のハイテク大手(technology giant)・シャープです。同社は薄型ディスプレー(flat-screen devices)の落ち込み(the downturn)により、深刻な打撃を食らってしまいました。





「異例の提携(an unusual deal)」

昇り竜のごとき鴻海(ホンハイ)と、満身創痍のシャープ、この2社の提携は世間をアッと言わせました。

鴻海(ホンハイ)グループのフォックスコン(富士科技集団)は、弱ったシャープ株の約1割と引き換えに、16億ドル強(およそ1300億円)をシャープに投資すると約束したのです。



「高性能ガラス技術(advanced glass technology)」

昇り竜・鴻海(ホンハイ)の欲したのは、シャープの持つ高性能なガラス技術(advanced glass technology)でした。シャープの持つ高い技術は、アップル社のiPhoneやiPadにディスプレイ画面を提供している鴻海(ホンハイ)にとって、垂涎の的だったのです。

一方のシャープが欲したのは、シンプルにキャッシュ(cash)でした。



「契約は履行されるとは限らない(a deal is not always a deal)」

ほぼ確定事項(a done deal)かと思われた両者の提携、しかし悲しいかな(alas)、ビジネス界というジャングルの中にあって、契約(a deal)は履行されるとは限りませんでした。



「爆弾が落ちた(the bombshell hit)」

その爆弾(the bombshell)が落ちたのは8月3日、それはシャープの推定赤字(an anticipated loss)が12億ドル(およそ1000億円)にも達すると報じられた時でした。

その結果、ただでさえ弱っていたシャープ株が、28%も急落してしまったのです。



「株式引き受けの義務(its subscription obligations)」

シャープ株が転落する様を眺めていた鴻海(ホンハイ)は、突如、「株式引き受けの義務は履行を求められない(not be required)」との見解を発表しました。つまり、無情なる提携解消です。その理由とされたのは、「シャープの激しすぎる値動き(the volatility)」でした。



「頼みの命綱(a reliable lifeline)」

鴻海(ホンハイ)による突然かつ一方的な翻意は、シャープにとっては寝耳に水。最も頼りにして身体を預けきっていた命綱(a reliable lifeline)が、いきなり切断されてしまったのです。

動転したシャープは辛うじて、「出資見直しについては同意していない(no revision had been agreed)」との簡潔な声明(a terse note)だけを発表しました。



「タイミングの悪い資本提携(the ill-timed deal)」

両社が提携に合意して以降、シャープの株価はざっと3分の1も値を下げてしまいました。そのため、このタイミングの悪い資本提携(the ill-timed deal)は、相手方の鴻海(ホンハイ)にとっては分の悪いものとなってしまっていました。

シャープ向けの投資により、鴻海(ホンハイ)は4億ドル(320億円)もの評価損を計上しなければならなくなっていたのです。



「見直される条件(a reworked deal)」

まだ詳細は分からないものの、このまま行けば、鴻海(ホンハイ)がシャープ株を引き受けるにしても、それは提携合意時の1株500円ではなく、急落した後の1株200〜300円の水準になる可能性が高いと言われています。

シャープ側にしても、当初の合意(original deal)を守るように迫ることはない、というのが大方の見方です。



「鴻海にとっては良い知らせ(good news for Hon Hai)」

シャープ株の急落は、当のシャープにとっては痛恨の極みといえども、海の向こうの鴻海(ホンハイ)にとっては良い知らせ(good news)だったのかもしれません。

というのも、シャープに約束していた資金を全額投資する必要がなくなったため、計上しなければならない評価損も少なくて済むからです。とりわけ、鴻海(ホンハイ)に投資していた人々は胸をなでおろしたに違いありません。



「犠牲の多い勝利(a Pyrrhic victory)」

それでも、鴻海(ホンハイ)にとって、今回の勝利は犠牲の多い勝利(a Pyrrhic victory)でもあるでしょう。なぜなら、結局、鴻海は借金漬けのシャープの株式を引き受けることになりそうだからです(たとえ、その額が減ったとしても)。

ちなみに、犠牲の多い勝利を「ピュロスの勝利(Pyrrhic victory)」と表現するのは、古代ギリシャ時代の王様・ピュロスの故事にちなみます。

戦術の天才と謳われたピュロスは、敵対するローマ軍に対して連戦連勝しますが、粘り強いローマ軍は一向に降伏の兆しを見せません。そうこうするうちに、ピュロス軍の将兵もジワジワと数を減らしていき、勝っても勝っても、その代償は大きくなるばかりだったということです。



「最終的な破綻(eventual bankruptcy)」

もしかしたら、今回、切望する命綱(a much-needed lifeline)をシャープが絶たれてしまえば、最終的にシャープを破綻(bankrubtcy)にまで追いやることになってしまうかもしれません。

もしそうなったら、鴻海(ホンハイ)の郭台銘・会長はジャングルの高見からこうつぶやくかもしれません。

「これがジャングルの掟(law of the jungle)だ…」



ジャングルの掟(law of the jungle)というのを辞書で引くと、「弱肉強食」と出てきます。そして、その説明書きを読むと、「最も強い者(the strongest)、または最も適した者(the fittest)、もしくは最もズルい者(most canning)が生き残る」とあります。

はたして、今、最も強いといえる鴻海(ホンハイ)は、最も適した者(the fittest)なのか、それとも…。







英語原文:
Sharp and Hon Hai: Law of the jungle | The Economist

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2012年03月23日

モグラ塚(molehill)のように小さくなった中国の貿易黒字。

「中国経済(China's economy)
ハードランディングの恐怖(Fears of a hard landing)」


英国エコノミスト誌 2012年3月7日号より



「拒絶する(rebuff)」

対立の絶えないアメリカ議会(America's fractious legislature)は、こと中国を拒絶する(rebuff)するとなると、完璧な調和を見せるようです。

というのも、オバマ大統領が今月中旬に署名した中国からの輸入品を規制する法案は、速やかに(swiftly)議会に可決されたからです。

「rebuff」という単語には「ひじ鉄砲」という意味もあるくらいに、強い拒絶を示します。また、「無礼」というニュアンスもあるようです。



「事実無根(groundless)」

いつもは、中国の輸出が多すぎると大騒ぎするアメリカですが、今回はそれが少な過ぎると言って、世界貿易機構(WTO)に訴え出ました。

なぜなら、中国がレアアースの輸出を制限しようとしたからです(中国は世界のレアアースの97%を供給しています)。

その訴えに対し、中国側は事実無根(groundless)と撥ねつけました。



「ねじ曲げる(distort)」

中国の輸出は大黒字になるのが常でしたが、先月の貿易収支では、過去最大の赤字を計上しました。

しかし、その月は旧正月がらみの長い休暇のある月でもあったため、その数字が歪められている(distort)とも考えられます。



「危機に苦しむヨーロッパ(crisis-racked Europe)」

中国の輸出が減ったのは、危機に苦しむヨーロッパ(crisis-racked Europe)向けの輸出の落ち込みと、原油価格の高騰がその原因として挙げられています。

「rack」という単語には「拷問にかける」という意味もあり、この単語を使うことには、それほどにヨーロッパが苦しめられたことが示唆されています。



「例外(anomaly)」

もし、2月の大赤字が例外(anomaly)であったとしても、中国の貿易不均衡は確実に是正されつつあるようです。

リーマンショック以前、中国の黒字はGDP比で10%を超えるほどにバランスを欠いたものでしたが、昨年の黒字はといえば、GDP比で2.8%にまで低下しています(ピーク時の3分の1以下)。



「モグラの塚(molehill)」

2004年から2007年にかけて急騰した中国の貿易黒字をグラフにすると、その盛り上がりは巨大な山のようです。

その大きな山に比べれば、近年の中国の黒字はモグラの塚(molehill)のように慎ましやかなものとなりました。



「均衡(equilibrium)」

こうした状況に対して、中国の温家宝首相は人民元(中国の通貨)が均衡(equilibrium)レベルに近づいたと語っています。

「equilibrium」という単語は、政治的均衡(political equilibrium)などという使われ方もするようです。



posted by エコノミストを読む人 at 14:39| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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