「経済覇権の行方(The celestial economy)」
“celestial”の文字通りの意味は「すばらしい、至福の」。
(英国エコノミスト誌 2011年9月10日号より)
今日の記事は「中国」。メキメキと頭角をあらわしてきた中国が、今後の世界地図をどう変えてゆくのでしょうか?
「歴史は我々に味方している(History is on our side)」
こう広言して憚(はばか)らなかったのは、1956年のソ連です。「我々は君たち(アメリカ)を葬り去る(We will bury you)」とまでアメリカに通告していました(informed)。
ところが、その後のソ連は、歴史に味方されるどころか自滅してしまい、その代わりに歴史は1980年代は日本に味方し、そして今、中国に味方しようとしています(take China’s part)。
「自己否定的(self-denying)」
ソ連の予言(prophesies)は自己否定的(self-denying)だったそうです。
なぜなら、その予言を聞いたアメリカは、よけいに奮起し(rouse)、予言を覆してしまったからです(defied them)。
アメリカのサマーズ氏は、「未来のことを心配する限り(As long as we’re worried about the future)、未来は良くなる(the future will be better)」と自信たっぷりでした。
しかし、こと中国のこととなると、アメリカは少々分が悪いようです。中国の台頭(China’s rise)を防ぎたくとも、現在のアメリカには打てる手がほとんどない(precious little)という状況です。
「人口動態(demography)」
中国の人口(population)はケタ外れです。
アメリカの4倍の人口を抱える中国は、たとえ一人当たり(per head)の生産力(output)がアメリカの4分の1(a quarter)だとしても、アメリカと同等の経済規模となります。
「いくぶん遅れている(somewhat backward)」
現在の中国経済は、先進国よりもいくぶん遅れています(somewhat backward)。しかし、この遅れは成長するための(catch-up growth)大きな余地(plenty of scope)とも考えることができます。
それに対して、日本はすでに技術の先端(the technological frontier)にいるため、今後の成長余力は必然的に小さいものとならざるをえません。
「貿易の重力モデル(the gravity model of trade)」
貿易の重力モデル(the gravity model of trade)というのは、交易相手国との距離(the distance)が貿易量に影響を与えるというものです。
遠い国と交易するほど多くの労力が必要とされるため、近場に交易相手国がいるほうがガゼン有利になるのです。
その点、中国の周辺国(neighbours)のアジア諸国は、今後の成長が大いに見込めます。そして、中国自身も経済拡大がしやすい状況にあることになります。
それに対して、アメリカの裏庭(backyard)の国々には、少々さみしいものを感じずにはいられません。
「支配力(dominance)」
2030年までに中国は世界のGDPの23%を占めるようになると言われています。
これはアメリカの2倍(twice)の規模となります。同様に輸出入(imports and exports)におけるシェアも中国はアメリカの2倍以上になると言われています。
2030年時点での中国の支配力(dominance)は、1970年代のアメリカ、そして1世紀前のイギリスに匹敵する(match)とのことです。
「一極世界(unipolar world)」
世界は「G7(先進7ヶ国)」のような多極的(multipolar)な世界ではなく、「G1」という一極世界(unipolar world)に向かっているのかもしれません。
もちろん、その一極(the one)とはアメリカではなく、中国ということになります。
「中国へ対する弱気(China bear)」
2030年への中国支配への仮説(assumptions)は、じつは弱気(bear)な見方なのだそうです。
この仮説に用いた年間5.5%という一人当たりの所得(per-person income)の伸びは、過去20年間(the past two decades)の伸びよりも3.3%低く見積もっているのだそうです。
それは、重大な金融危機(major financial crisis)をも考慮に入れているからです。
ちなみに、過去20年間で年間5.5%の伸びを超えた国々は、日本、香港、ドイツ、スペイン、台湾、ギリシャ、韓国などなど。逆にこの数値を超えられなかった国は「ルーマニア(Romania)」だけということになっています。
「高齢者人口(ageing population)」
あと数年もすると、中国の人口に対する労働者の割合が、上昇(rising)から下降(falling)に転じます。
この人口動態上の転換(demographic turnaround)は中国の成長にどう影響するのでしょうか? この辺りはまだ不確かなようです。
「すべてが白紙に戻る(all bets will be off)」
もし、中国の政治体制(political regime)が崩壊すれば(implode)、すべては白紙に戻ります(all bets will be off)。
この辺りの予測も難しいところです。
「未熟な超大国(a premature superpower)」
中国は、ヤンチャな悪ガキ(bratty)になるのでしょうか?
もし、中国が国際社会での義務(global duties)を無視するようであれば、そうなるでしょう。
世界大戦中の世界は、リーダー不在の世界経済(the headless global economy)でした。イギリスにはリーダーになる能力がなく(unable)、アメリカはリーダーになるのを嫌がっていました(unwilling)。
中国が大国の責任を追わないのであれば、その様は世界大戦中と似た状態になるかもしれません(may resemble)。
「早熟な超大国(a precocious superpower)」
ヤンチャな悪ガキ(bratty)の代わりに、中国が温和な大国(benign superpower)となる可能性もあります。
中国は先日発表した白書(a white paper)の中で、中国は地域覇権(regional hegemony)や勢力圏(a sphere of influence)は求めない(not seek)と断言しました。
ちなみに、この記事で未熟という言葉「premature」は悪い意味に、早熟という言葉「precocious」は良い意味に解釈されています。
「暫定的な超大国(a tentative superpower)」
未熟(premature)であれ、早熟(precocious)であれ、現在の中国は暫定的な(tentative)超大国です。
現在の中国による支配(China’s dominance)は限定的(limit)です。かつてのアメリカは、戦後の白紙状態(wiped clean by war)の中で覇権を確立しましたが、現在の世界は白紙ではありません。
♪ キーンコーン ♪ カーンコーン ♪
今後の中国に目が離せなくなったところで、今日はオシマイです。
お疲れ様でした〜。