2015年08月28日
レバノン、回収されないゴミの山
路上の回収されないゴミの山(mountains of uncollected rubbish)をめぐって、首都ベイルートでは抗議デモが暴力化しており、すくなくとも一人が犠牲になった。
Protests over mountains of uncollected rubbish in the streets of Beirut turned violent, leaving at least one man dead.
抗議デモは、機能不全に陥っているレバノン政府に対する代替行為(proxy)とみられている。
The protests were seen as a proxy for wider dissatisfaction with Lebanon's dysfunctional government.
Politics this week
The Economist, Aug 29th 2015
2015年07月24日
なぜイランは核合意をしたのだろう?
イラン核合意
Nuclear Iran
The Economist
Jul 18th 2015
2015年7月14日
イラン(Iran)は主要6カ国(six world power)とEUの間で核交渉を合意した。
その成果への反応は二分する。
核拡散(nuclear proliferation)を食い止め、36年間にわたるイランとアメリカの確執(36 year fued)を修復するきっかけになると評価される一方で、イスラエルのネタニヤフ首相などは
「驚くべき歴史的な過ち」
"stunning historic mistake"
と手厳しい。それは、この合意がイランの核大国化をお膳立てし、国外での侵略行為に資金源を与えてしまうことになるからだという。
いずれにせよ、ことイランのこととなると支持派(backers)も批判派(critics)も「摩訶不思議な思考(magical thinking)」に陥ってしまう傾向があるようだ。
イランの現政権は核燃料サイクルの専門技術について、国力の証(a badge of national power)であり、アメリカによる軍事攻撃(military attack)に備えた保険だと考えている。
そして今回の合意で、イランは「核敷居国(a threshold nuclear state)」として国際的に認められたことになる。それは核保有が目前であることを意味する。
しかしイランは今後10〜15年間、ウラン(原子爆弾の燃料)を濃縮し核兵器を開発する能力は大きく制限されることとなった。その後も、核拡散防止に関する国際条約(international treaty)が全面的に適用されることとなる。イラン政府は、すべての核施設への立ち入り調査(intrustive monitoring)を認め、要請があれば「管理された立ち入り(managed access)」を受け入れることに同意している。
その交換条件が経済制裁(sanctions)の解除である。もちろん、イランが合意内容に違反した場合には、再度、制裁が科されることになっている。
はたして、今回の合意よりもましな選択肢(the alternatives)はあったのだろうか。
他の選択肢は、さらに良い条件の合意ができるまで待つか、戦争に突き進む(go to war)のいずれか。
経済制裁によってイランの譲歩(concessions)を引き出すことができたのだから、さらなる制裁によってさらなる譲歩を引き出せるかもしれない。だがそれは、絶対に実現しない最高の条件(a bargain that never comes)なのかもしれない。
イラン政府の変貌(transformation)にあまり大きな期待はかけられない。イランが核開発の中枢部分(the guts)を放棄すると考えるのは無謀は賭け(a reckless gamble)だろう。
かといって、武力行使に踏み切るのか。
エコノミスト誌は言う。戦争は軍事管理(arm-control)の手段としては効果が薄い。
”war is a poor form of arms-control"
アメリカが数ヶ月をこえる軍事作戦を実行する胆力(the stomach)があったとしても、空爆(bombing)では核のノウハウ(know-how)まで破壊することはできない。かえって核開発プログラムがを地下へ潜伏させてしまう恐れがある。
戦争はあくまで、イランが核兵器にむかって猛進しはじめたときの最後の手段(a last resort)であろう。
しかしアメリカの国力が衰えている今、イランの野心(ambitions)は掻き立てられている。
イランは経済制裁を受けてなお、乏しい資金を積極的にイラクやシリアなどの混乱地域に注ぎ込んでいた。レバノンでは民兵組織であるヒズボラを援助し、バーレーンやイエメンでは人心を扇動している。制裁が解除された今、イランの国外における暴力行為(violence abroad)はエスカレートする恐れがある。
イスラム国(IS)のジハード主義者、イエメンでのサウジアラビアとの戦争、弱体化するシリア政権…。イランの攪乱する中東地域は、はなはだ混乱状態(turmoil)におかれている。
それでも今回の合意で、アメリカが中東地域(the Middle East)に腰を据えることとなった。
アメリカのオバマ大統領にとって、イランとの核合意は「外交政策における遺産(foreign-policy legacy)」であり、彼自身が最高責任者(enforcer-in-chief)である。それは大統領が代わっても継続される。
制裁が解除されイランの資金が増えれば、確かにイランの活動は活発化するであろう。しかし、「資力の大小によって支配力が決まるわけではない(dominance is not determined by resources)」。それはアメリカがイラクで思い知った教訓だ。
アメリカが中東地域で外交努力(regional diplomacy)を継続するならば、きっとイランの封じ込め(contain)に役立つだろう。
ところで、なぜイランは核計画の制限に合意したのか?
イランの最高指導者であるハメネイ師は、国際社会にふたたび加わる決断を下した。それは核協定を裏切った北朝鮮の金王朝(Kim dynasty)とは対照的だ。ハメネイ師は世界のノケ者(a pariah)でいるよりも、国民に繁栄の可能性(a shot at prosperity)があると思わせておくほうが得策だと判断したのかもしれない。
イランでは神権政治(theocracy)が国民を支配している。国民の革命への熱意(revolutionary zeal)はとうの昔に失われてしまった。まるで中国のように。
いずれにせよ今回の合意により、ハメネイ師はイランをより開かれた国へと導いた。
世界の他の国々との貿易が増えれば増えるほど、イランは世界経済の網に織り込まれていくことになる。そうなれば必然、他国とイガミ合っているよりも、まともな関係(decent relations)を築くほうが富を増すことにつながっていく。
合意いかんに関わらず、イランほどの高度な知識(sophistication)をもつ大国は、いずれ核兵器を手にすることになるであろう。
「その事実はどうあっても変えられない」
"Nothing can change that"
ただその時、イランと外界とのつながりが密になっているほど、イラン国内にも穏健派の声(moderating voices)が大きく響くことになるだろう。
出典:
The Economist 「Nuclear Iran; Hiyatollah!」
JB press 「イラン核合意:この機会を逃すな」
2015年04月14日
弱点をさらしつつあるIS(イスラム国)
イスラム国(Islamic State)、IS。
世界で最も危険なテロ組織
The world's most dangerous terrorist organization
男性の捕虜(prisoners)をむごたらしい動画(gory videos)のなかで殺害し、女性の捕虜を奴隷にした。
IS(イスラム国)は今までのジハード主義組織(jihadist groups)とは異なる。
敵(foes)の扱いが残酷すぎるうえに、プロパバンダを広める能力が極めて高い(competent)。そして、カリフ制イスラム国家(the Islamic caliphate)を復活させようと目論んでいる。
カリフというのはイスラム国家の最高権威者のことで、カリフ制はオスマン帝国(the Ottoman empire)の崩壊後、近代トルコ(modern Turkey)によって廃止されている。
その復活(revival)によって、IS(イスラム国)は過去数十年間にわたる屈辱(humiliation)を消し去ろうとしている。かつて繁栄していたアラブ社会は、外国人たちによって衰退したと、彼らは考える。
「イスラム教徒よ、汝の国へ駆けつけよ」
"Rush , O Muslims, to your state"
そのIS(イスラム国家)による呼びかけに、多くのイスラム教徒が馳せ参じた。数千の熱狂者たち(zealots)は奮い立った。ヨーロッパの女学生までが、家族や友人をなげうって参加した。
一時、IS(イスラム国)はイラクの首都バクダッドの門前にまで迫る勢いだった。
しかし今、IS(イスラム国)にヒビ割れ(cracks)が生じはじめている。
クルド人部隊(Kurdish fighters)はアメリカの空爆支援を得て、IS(イスラム国)をシリアの都市コバニ(Kobane)から追い出した。シーア派民兵(Shia militias)はイラクとイランの支援を受けて、イラクの都市ティクリート(Tikrit)を抑えこみつつある。
かつては考えられなかった同盟関係(unlikely allies)がIS(イスラム国)を苦しめ、その領土を最盛期の約25%までに封じ込めている。
IS(イスラム国)の資金(funds)も目減りしている。
アナリストの試算によれば、IS(イスラム国)は収入の最大75%をすでに失った可能性があるという。豊富な資金源だった石油施設(oil facilities)はアメリカ軍にり空爆され、人質(hostages)の大半はすでに身代金と交換されるか、斬首(beheadings)されてしまった。征服による略奪品(the loot of conquest)も尽きた。
IS(イスラム国)の支配地域の住民(residents)、およそ800万人は不満を抱えている。
IS(イスラム国)による強奪(extortion)、暴力的な圧政(violent repression)、公共サービスの劣化が住民たちを怒らせているのだ。IS(イスラム国)は支配する人々の支持(consent)を失いつつある。
下手に広い領土(territory)と多くの人口(population)が、IS(イスラム国)の首を締めはじめている。もてる者は小さなつまずき(setbacks)に対してすら、脆い面をもつ。
亀裂が入っているとはいえ、IS(イスラム国)を打倒することは容易ではない。
まずはイラク第2の都市、モスル(Mosul)を是が非でも奪還(recapture)しなければならない。IS(イスラム国)がここを根城にしている限り、彼らの主張は揺るがない。
しかし、たとえモスルが奪還できたとしても、彼らの安全な避難場所(unchallenged haven)が、まだシリアにある。シリアの都市ラッカ(Raqqa)だ。シリア国内の問題は解決できない問題(the insoluble problem)であり、今はそれを考える者すらいない。IS(イスラム国)はシリアに潜伏しつつ、次の好機を待つこともできる。
IS(イスラム国)根絶(destruction)の道のりは遠い。
この中東の混乱(chaos in the Middle East)は、最終的にアラブ世界の各国政府を再建(rebuilding)しなければ収まらないだろう。そのためには何十年かかるかわからない。
この世界の深刻な脅威(a grave threat)に対しては、常に目を光らせておく必要がある(need constant watching)。
そしてまずは、IS(イスラム国家)のさらなる縮小(cutting back)を図らなければならない。
それが必要不可欠な第一歩(the vital first step)だ。
ソース
The Economist 「The war against Islamic State; The caliphate cracks」
JB press 「イスラム国との戦い:カリフ制国家のひび割れ」
単語集
2013年02月25日
止まらない、シリアの血…。
シリア
Syria
国家の死
The death of a country
シリアが崩壊していくにつれ、中東全域は危険にさらされていく。世界は手遅れになる前に行動しなければならない。
英国エコノミスト誌 2013年2月23日
「崩壊(disintegration)」
反目しあう軍閥(feuding warlords)、イスラム主義者(Islamists)、武装集団(gangs)…、荒れ狂う戦闘の渦中にあって、もはや崩壊寸前(disintegrating)のシリア。
もはや国家としての機能(function as a state)は失われつつあります。
「第2のソマリア(a new Somalia)」
無数の武装組織(militias)が乱立するシリアにあって、アサド大統領の政府軍はそれら武装組織の一つに過ぎないかのようです(もちろん最大規模ではありますが)。
このままでは、シリアは第2のソマリア(a new Somalia)と化してしまいます。
※アフリカの角に位置するソマリアは、すでに崩壊国家であり、周辺海域を荒らしまわる海賊たちの根城となっています。
「暴力的対立(violent rivalries)」
シリアの分裂による破滅的悪影響は、中東全域、そして地域を超えて混乱を撒き散らす危険性が多大です。すでに、暴力的対立(violent rivalries)が負の連鎖を誘発しているのです。
シリアのアサド大統領が持つといわれる化学兵器(chemical weapons)が危険人物の手(dengerous hands)に渡るかもしれませんし、聖戦(jihad)が世界中で巻き起こるかもしれません。
「行動をためらう欧米(the West's hesitancy)」
今のところ、アメリカをはじめとする世界は、手をこまねいているようです(almost nothing to help)。
欧米諸国が行動をためらう理由の一つには、アサド大統領が一貫して暴力という戦略(a strategy of violence)を取り続けているというのがあるのでしょう。
「アラブの春(the Arab spring)」
2011年、北アフリカや中東地域で民衆蜂起(the uprising)が巻き起こった時(アラブの春)、シリアのアサド大統領は、戦車と戦闘機(tanks and gunships)でデモ隊を封じ込めてしまいました。
その結果、平和なデモ隊は武装組織(armed malitias)と化してしまい、砲撃された国民は住む土地を追われてしまいました(uprooted)。
「仲間のアラウィ派(his Alawite brethren)」
少数宗派であるアサド大統領のアラウィ派は、多数派のスンニ派を虐殺。他宗派(other sects)にも忠誠を強いています。
アサド大統領は、自分が失脚したら恐ろしい報復(terrible vengeance)が待っていると、自国民に脅しをかけているのです。
「宗派間の遺恨(sectarian hatred)」
当初、反政府軍を構成する各勢力は、同盟関係(allies)にありました。
しかし、戦乱が深まるにつれ、宗派間の遺恨(sectarian hatred)などから、お互いが敵対するようになってしまいました(target each other)。政府も敵ならば、他宗派も同じく敵ということです。
「カルト的な崇拝(the cultlike devotion)」
たとえ、アサド大統領が国家の統制を失いつつあるといえども、自身のアラウィ派からはカルト的な崇拝(the cultlike devotion)を受け続けています。
また、アサド大統領失脚後の混乱を恐れる人々からも、渋々ながら支持を得ているようです(the grudging support)。
「忠実な軍隊(loyal troops)」
アサド大統領は、いまだに5万人前後の完全武装した忠実な軍隊(so loyal, well-armed troops)を保持しています。
また、それほど忠実でもなく、それほど訓練されていない兵ならば、あと数万人はいるとのことです(less loyal, less trained)。
「ずいぶん先の敗北(a log way from losing)」
アサド大統領がこの戦いに勝てないのは確実ながらも、その敗北もずいぶんと先になりそうです。
というのも、彼の背後ではロシアやイラン、イラクなどが資金や武器を提供しており、レバノン最強の武装組織ヒズボラも、シリアに戦闘員を送り込んできているのです。
「多大なる苦しみ(suffering on such a scale)」
シリアでの戦闘が長引けば長引くほどに、民の苦しみは悲惨なものとなっていきます。
シリアではこれまでに戦闘で7万人以上が死亡し(claimed)、数万人が行方不明になっています(missing)。アサド政権により投獄された人は15〜20万人。200万を超える人々がシリア国内で家を失い、およそ100万人が国外での惨めな生活を強いられているのです。
「看過すべきでない(unconscionable)」
20世紀後半、大虐殺(the genocides)や内戦(civil wars)は看過すべきでない(unconscionable)と、世界は学んだはずではなかったでしょうか?
それでもアメリカのオバマ大統領は、軍事行動(military action)を起こすのに、人命救助(saving lives)だけでは十分な理由にならない(not a sufficient ground)と主張しているようです。
「強制的な平和(to impose peace)」
オバマ大統領が軍事行動をためらう理由の一つに、アフガニスタンとイラクでの苦い失敗があるのは明らかでしょう。
アメリカほど、強制的な平和の実現がどれほど難しいかを痛感している国は、他にありません。オバマ大統領は、アサド大統領が生み出した混乱(chaos)に巻き込まれるのはコリゴリなのです。
「弱ったアメリカ(a weary America)」
そもそも、アメリカは経済的に疲弊してしまっています。
もしここで、さらなる他国の災厄(another foreign disaster)に振り回されてしまっては…、アメリカ国内でのオバマ大統領の立場はますます危うくなってしまいます。
「理解できる、しかし誤っている(understandable, but mistaken)」
アメリカの立場は理解できます。しかしそれでも、エコノミスト誌はそれを間違いだと言い切ります。
遅かれ早かれ、アメリカはシリアの混乱に巻き込まれてしまう(be sucked into)、それが世界の超大国(the world's superpower)たるアメリカの宿命だ、とエコノミスト誌は言うのです。
「アメリカの国益(his country's interests)」
もし、アメリカが傍観している間にシリアが分裂してしまったら…、その地は武装勢力の手によって無法地帯(lawless territory)と化し、混乱に混乱を重ねることになりかねません。
そうなってしまうと、アメリカが中東で成さなければならないことの大半が水泡に帰してしまいます。たとえば、テロの封じ込め(containing)、エネルギー供給の確保(ensuring)、大量破壊兵器(weapons of mass destruction)の拡散防止…。
これらの失敗はアメリカの国益(interests)を損なうことにもなるでしょう。
「イスラエル、レバノン、ヨルダン(Israel, Lebanon, Jordan)」
シリアの反政府軍の2割程度は、過激な聖戦主義者(jihadists)だといいます。もし彼らが隣国のイスラエルを脅かせば、イスラエルは猛然と反撃してくるでしょう。
もしアサド大統領が、別の隣国レバノンにいる同じアラウィ派を扇動すれば、レバノンも引き裂かれる危険性があります。また別の隣国ヨルダンも然り、ただでさえ貧しく不安定なヨルダンはすぐにひっくり返ってしまうでしょう。
「火薬庫(arsenal)」
シーア派が多数を占めるイラクは(Shia-majority Iraq)、アサド大統領のアラウィ派との騒乱(fray)に巻き込まれかねません。そこにスンニ派も加われば、イランまでもが宗派間対立を深めることになるでしょう。
シリアには危険な化学兵器(chemical weapons)があり、イランには核兵器開発(a nuclear bomb)があると言われています。ゆえに、この地域の混乱は全世界に対する脅威(threatens)でもあるのです。
「何もしない(doing nothing)」
アメリカのオバマ大統領は、シリアの戦火(conflagration)が自然に燃え尽きるのを待っているようですが、その方針は失敗に終わりそうです。
事態は悪化するばかりなのです(deteriorate further)。
「破滅的な敗北か、対話か(ruinous defeat or talks)」
アメリカはシリアの破滅的な敗北(ruinous defeat)を見守っているよりも、反政府勢力との対話(talks)を始めるべきなのかもしれません。
少なくとも、今のシリアに残されている人々の保護は図らねばなりません。そのためには、飛行禁止区域(a no-fly zone)の設定なども、アサド大統領の空軍を抑えこむには有効なのでしょう。
「暫定政府(a transitional government)」
シリアの反体制派(Syria's opposition)から、暫定政府(a transitional government)を組織することや、過激な武装勢力以外(non-jihadist)に、対空ミサイル(anti-aircraft missiles)などの武器を提供することなども必要なのでしょう。
少なくとも、イギリスとフランスは、アメリカのそうした行動を支持するはずだ、とエコノミスト誌は言います。
「解放後のシリア(a liberated Syria)」
ここで厄介なのは、ロシアの存在です。欧州とアメリカは、粘り強くロシアを説得し、アサド大統領をバックアップすることを諦めさせなければなりません。
そのための交換条件としては、解放後のシリア(a liberated Syria)におけるロシアの利権(a stake)を約束するのも一手でしょう(第二次世界大戦末期のように…)。
「シリアの穏健派(moderate Syrians)」
しかし今のところ、アメリカに明快なシグナル(bold signal)はありません。
そのため、シリア国内の穏健派(moderate Syrians)は完全に見放されていると感じてしまっています(feel utterly abandoned)。
「シリア国民の血(Syrian blood)」
はたして、アサド大統領はいつまで権力の座に留まり続けるのでしょうか?
その間、シリア国民の血(Syrian blood)は流れ続けるばかりです(flow freely)…。
英語原文:Syria: The death of a country | The Economist
2011年05月10日
世界が固唾を飲む、パレスチナ2大勢力の和解。真の平和か?さらなる争いか?
パレスチナの2大勢力(ファタハとハマス)が和解した。
こう聞いてもピンとこない人も多いかもしれない。中東の問題は複雑なため、ここに少し整理しておこう。
まず、イスラエルとパレスチナが対立している。さらに、パレスチナは内部で2つに分かれ、「ファタハ」と「ハマス」が対立していた。ファタハは穏健派で、ハマスは過激派(イスラム原理主義)とされる。ファタハは「ヨルダン川西岸地区」、ハマスは「ガザ地区」を支配している。
今回の合意で、対立関係にあったファタハとハマスが手を結んだのである。こうなると、イスラエルには都合が悪い。2つに分かれて争っていた敵が1つにまとまってしまったからだ。
イスラエルの首相は、この和解を「厳しく非難」し、「ファタハがハマスと和解した今日という日は、テロリズムが大きな勝利を収めた日と言えよう」とまで言い放った。
ファタハとハマスの和解は、実は2度目である。
2007年にも和解したのであるが、和解の3ヶ月後には「両派の武装勢力は厳しい内戦に突入」し、結局「元の木阿弥」となってしまっていた。
そして、今回の和解。ファタハのアッバス議長は「(パレスチナ)分断の暗黒時代は永遠に閉じられた」と述べたが、前回の物別れもあり、この和解が永続するかどうかは、今のところ未知数だ。
実際、ファタハとハマスの摩擦はすでに始まっている。
7月9日に予定されている地方選挙は、「ファタハは勝算があるため選挙実施を望み、ハマスは負けを恐れて中止を求めている。」
また、ファタハのカリシ氏は「イスラム原理主義者(ハマス)が多数派の立場を利用して、権力を横取りしないとも限らない」と発言。
イスラエルも、ハマスはテロリストの支援者だと非難し、「ハマスは再び追放されるべきだ」と声高に叫ぶ。
こうした声を聞くにつけ、イスラエル・パレスチナ問題は、根が深すぎて、とても一筋縄でいくとは思えないが、今回の挑戦が実を結ぶことを祈りたい。

