2015年08月30日

大量難民にたじろぐヨーロッパ [The Economist]



ヨーロッパに難民(asylum-seekers:亡命希望者)が押し寄せている。今年(2015)に入って27万人が記録され、すでに前年の総数を上回っている。ギリシャやイタリアなど沿岸諸国はEUに助けを求め、ここ2年間で3万2,256人を受け入れることに合意している。

一方、世界のもっと貧しい地域(much poorer parts)では、EUよりもずっと多くの難民たちを受け入れている。小国レバノンではシリアから約1万人の難民を歓迎している(1万人といえばレバノンの人口のおよそ4分の1にあたる)。同様にトルコでは1.7万人、タンザニアではコンゴやブルンジから何十万という難民たちを迎え入れている。ほとんど不平も言わずに(タンザニアの国民所得はEUの5分の1以下)。

現在ヨーロッパに詰めかけている避難民は27万人といえども、それはEU域内の人口に比すれば、まだヨーロッパ人1,900人に難民1人の比率にすぎない。



Europe can and should do better.

「ヨーロッパはもっとできるし、そうすべきだ」とエコノミスト誌は言う。そして、その理由は道義的なもの(moral reasons)というよりも、利己的なもの(selfish ones)だ。

Let them work.
「働かせればいい」



ヨーロッパの労働人口は高齢化そして縮小化していく。というのに、各国政府は膨大な借金(vast debts)を将来の世代に丸投げ(dump on)しようとしている。

Immigrants, including asylum-seekers, are typically young and eager to work. People who cross deserts and stormy seas to get to Europe are unlikely to be slackers when they arrive.

一方の、難民を含む移民たち(immigrants)は若く、そして働きたがっている(eager to work)。砂漠をこえ荒波を乗りきってヨーロッパにまでたどり着いた人々は、きっとナマケ者(slackers)ではないだろう。

Africans and Arabs are young. They bring complementary skills, ideas and connections. Europe can borrow some of their vitality. 

アフリカやアラブの人々は若い。彼らはヨーロッパのもっていない技能やアイディア、人脈をもたらしてくれる。ヨーロッパの人たちは彼らのバイタリティーを少し借りることができる。



ある研究によれば、現地の人より移民のほうが新たな事業を立ち上げることが多く、重大犯罪に手を染めることも少ないという。つまり、移民たちは国庫(the public purse)にとって純粋な貢献者(net contributors)となりうるのである。

事実、アメリカは移民によって繁栄した国家の好例である。

America did the successive waves of refugees in the 20th century, including plenty from Europe. A more open Europe with more flexible labour markets could turn the refugee crisis into an opportunity.

20世紀のアメリカは度々押し寄せる難民(refugees)の波を受け入れてきた。ヨーロッパからもたくさん来た。もしヨーロッパの労働市場(labour markets)がもっとオープンで柔軟であったなら、この難民危機(the refugee crisis)を絶好のチャンスに変えてしまうことができるだろう。



しかし実際のところ、群れをなして押しかける何千という難民たちを目にしたヨーロッパの人々は、すっかりたじろいでしまった(recoil)。思わず、野蛮なイスラム国(IS)が脳裏にうかんだ。

Islamic state (IS)does not hide its brutality. When it burns men alive or impales their heads on spikes, it posts the videos online.

イスラム国(Islamic state)はその残忍さを隠そうとしない。人間を生きたまま火あぶりにしたり、頭から串刺しにする、そんな映像をオンラインに投稿している。

彼らは神の意志(God's will)に従っていると公言する。もし彼らの占拠するシリアやイラクから逃げ出す者がいたら生かしてはおけない。ゆえに、ひとたび亡命をはかった者たちは、恐ろしさのあまり自国に戻ることは決してない(シリアでは人口の20%が流出しているという)。



ヨーロッパで移民への懐疑派(sceptics)が力を増すのも無理はない。

Not all who express such fears are bigots. And it is clear that monitoring of jihadist groups needs to be stepped up. The screening of asylum-applicants should be firm. Syria is a hellhole; Albania is not.

難民への不安を口にする人々は、皆がみな頑固者(bigots)というわけではない。ジハーディストに対する監視を向上させる必要があることは明らかだ。亡命者を受け入れるにしても、きっちり選抜しなければならない。シリアは最悪、アルバニアならOKだ。



ヨーロッパは世界中で最も豊かで平和な地域の一つである。その市民は当然、慈悲の心(compassion)をもっている。迫害(persecution)から逃れてくる人々にとっての避難港(safe harbour)たらんとする自負もある。

The recent surge of asylum-seekers has tested Europe's commitment to its ideals .

近年急増する亡命希望者(asylum-seekers)によって、ヨーロッパは自身の理想に対する責任(commitment)を試されている。



How can Europe assimilate migrants better?

ヨーロッパは移民をどう吸収していけるのか?

Let them in, and let them earn.

「受け入れ、そして稼がせよう」

Jobs keep young men out of trouble.

仕事があれば、若者たちはトラブルを起こさない。






出典:
The Economist, Aug 29th 2015
Migrant to Europe; Let them in and let them earn




posted by エコノミストを読む人 at 06:48| Comment(0) | ヨーロッパ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月29日

朝鮮半島、軍事衝突回避


北朝鮮と韓国とのあいだで砲撃が交わされた後、朝鮮半島の非武装地域(demilitarised zone)で双方の高官らが高まった緊張を緩和するための会談をおこなった。

Following artillery exchanges between North Korea and South Korea, officials from both sides met to defuse rising tensions along the Korean peninsula's demilitarised zone.

韓国側は、北朝鮮の最高権威(supreme dignity)金正恩を侮辱する、拡声器による宣伝放送(propaganda)を中止することで合意。

South Korea agreed to turn off propaganda loudspeakers that North Korea said affronted the "supreme dignity" of its dictator, Kim Jong Un.

北朝鮮は準戦時状態を解除した。

The North relaxed its state of high military alert.

北朝鮮が敵意を高めているのは、中国をゆすってさらなる援助を引き出そうとしているからなのかもしれない。

The North may have ratcheted up hostilities in order to blackmail China into increasing aid.


Politics this week
The Economist, Aug 29th 2015



posted by エコノミストを読む人 at 06:22| Comment(0) | アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アメリカ、銃殺の動画が拡散。


銃撃による痛ましい事件のつづく今年のアメリカ、ヴァージニア州の町でテレビ生中継中に2人のジャーナリスト(リポーターとカメラマン)が殺害された恐ろしい事件(the gruesome murder)は、いまだ人々の心に衝撃を与えている。

In a grim year for shooting in America, the gruesome murder of two journalists while they were broadcasting live on air in a town in Virginia still had the ability to shock.

容疑者の男は不満をもった以前のリポーターで、彼は銃自殺する前に、自らの凶行を収めた映像をソーシャルメディアに投稿していた。

The alleged gunman, a disgruntled former reporter, posted video of his crime on social media before later shooting himself.


Politics this week
The Economist, Aug 29th 2015



posted by エコノミストを読む人 at 05:54| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。